愛すべき中国産 フレンチチャイナジャケットについて

Vintage

中国産の古着

 

一見すると「中国産」という言葉には、どこかチープな響きがあるかもしれない。
だが、フレンチチャイナジャケットに限っては、その先入観を少し脇に置いてみる価値がある。
大量生産の背景を持ちながらも、独特の佇まいや異国的なディテールが、他のワークウェアとは異なるのだ。

 

フレンチチャイナとは? -歴史-

フレンチチャイナとは、主に20世紀中盤、中国で生産され、ヨーロッパの労働市場に向けて輸出されたワークジャケットの一種である。
特にフランスをはじめとする欧州諸国で流通し、ワークウェアとして着用されたことから“フレンチチャイナ”という呼び名が定着した。

通常のワークウェアらしいカバーオールから、中国らしいマオカラー、チャイナボタンのものも存在する。素材は軽量で丈夫なコットンファブリック。
ミニマルながら異国情緒を帯びたディテールが、ヨーロッパのワークウェアとは少し異なる雰囲気を感じる。

1970年代を中心に、中国では国営企業による衣料品の大量生産が加速。
そうした中で生産されたジャケットの一部が、貿易や移民の流れを通じてヨーロッパに流入した。

安価かつ実用的だったこれらのジャケットは、現地の労働着として自然に受け入れられていく。
“チャイナ”という呼び名に反して、「ヨーロッパで育てられたワークウェア」としての顔も持っているのが、このアイテムのユニークなところだ。

french China 1970s (私物)

「friendship 友谊」

こちらの私物のジャケットは friendship 友谊 というメーカーのもの。

中国でのサイズ表記は通常、S、M、Lだがヨーロッパサイズ表記であることから。ヨーロッパ向けに販売していたことがわかる。

“friendship(友谊)” というブランド名が中仏間の関係性を示しているのかどうかは定かではないが、なんともハッピーな響きを持つ。

 

 

スタイリング

 

シンプルなジャケットだからこそ、シンプルに着こなすことができます。当時中国人が好んで着ていたこともあり、アジア人向けの少し小さめなサイジングとなっています。

素材は軽いコットン生地となっており、1年を通じて着用が可能です。ワークウェアであることから、頑丈な生地が採用されています。

深みのある紺色は、視覚的にもインパクトがあり、スタイリングの中で自然と主役になってくれる。この色合いは、労働着の視認性を意識したものでありながら、同時にヨーロッパの伝統的な“フレンチブルー”にも通じる要素がある。
「フレンチブルー(French Blue)」という言葉は、18世紀のフランス軍服に使われた鮮やかな青色に由来し、現在ではワークウェアカラーの代名詞となっている。

まとめ 不思議な“寄り道”をしたワークウェア

本来は中国国内での労働着として作られた一着が、国を越えてフランスに渡り、“フレンチチャイナ”と呼ばれるようになった。

ワークウェアが流行している時代ですが、一癖あるワークウェアを探している方には最高な1着です。

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