フェードとは? 古着における”色褪せ美学”

Vintage

 

古着を選ぶとき、つい手が伸びるのが「太陽にさらされて色が抜けきったTシャツ」や「洗い込まれて生成りっぽくなったコットンジャケット」。

新品のパキッとした色よりも、少し霞んだような退色感のほうがかっこいいって思う瞬間、ありませんか?

もともとこの「退色=かっこいい」という感覚は、古着ならではの価値観でした。 でも最近は、新品のアパレルでもわざと退色させたようなアイテムが増えてきています。

今回はこの「退色トレンド」について、その正体と源流についてです。

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①退色(フェード)とは何か

フェードとは、太陽光や洗濯によって生地の色が自然に薄くなっていく現象のこと。

デニムの色落ちと近い仕組みですが、Tシャツやコットンジャケットのような無地アイテムの場合は、

  • 日光に当たり続けて色が抜ける「サンフェード」
  • 洗濯を繰り返して全体が均一に薄くなる「ウォッシュフェード」

この2種類が中心になります。

とくにサンフェードは同じ環境に置かれても個体ごとに抜け方がまったく違うので、二つと同じ表情が生まれません。 これが古着好きにとってはたまらないポイントだったりします。

90s Ralph lauren cotton T 私物

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②なぜ新品なのに”退色風”が増えてきたのか

ここ数年、パキッとした新品カラーよりも、はじめから少し色褪せたような風合いのTシャツやスウェットがアパレルショップに並ぶようになりました。

これは「ピグメント染め」や「ガーメントダイ」と呼ばれる加工技術によるもの。 染料を生地の表面に乗せるように染めることで、洗濯や着用を重ねなくても最初から古着のような退色感を出せるようになっています。


つまり、時間をかけて手に入れていた”味”を、加工の力で最初から手に入れられる時代になったということ。 古着市場だけのものだった価値観が、新品アパレルの世界にも広がってきた形です。

③このトレンドの源流はどこにあるのか

このあたりを掘っていくと、行き着くのはやっぱりアメリカ、それも西海岸だと思っています。

カリフォルニアは日照量が多く、屋外で過ごす時間も長い土地柄。 サーフィンやスケートを楽しむ人たちのTシャツやスウェットは、日常的に強い日差しにさらされ続け、自然とサンフェードしていきました。

この「陽に焼けて色褪せたTシャツ」こそが西海岸的なラフさ、こなれ感の象徴として定着していったと考えられます。

 

さらにワークウェア文化も無関係ではありません。 屋外労働で着倒されたワークシャツやジャケットが色褪せ、くたびれていく過程そのものが「本物感」として評価されてきた歴史があります。

この2つの流れ、西海岸のサーフカルチャーとアメリカンワークウェアの美学が合流して、「退色している=使い込まれている=かっこいい」という価値観が育っていったのだと思います。

1990s Sports T 私物

ただ、この価値観がすぐに広く受け入れられたわけではありません。 もともと「色が抜けている=状態が悪い」というのが一般的な感覚で、古着市場でも退色したアイテムはむしろ敬遠されがちでした。

色褪せとプリント褪せによりデザインが曖昧に

流れが変わったのは、カーハートをはじめとするワークウェアブームがきっかけのひとつだったと思います。 使い込まれてダック地が色褪せたジャケットやパンツが「本物感」として評価されるようになり、退色=マイナスではなく個性として見られるようになっていきました。

同じ時期、バンドTシャツを中心としたヴィンテージTシャツの文化も広がりを見せます。 色褪せてやわらかくなったボディや、退色したプリントそのものが”時間の証”として語られるようになり、退色していることが逆に価値になるという感覚が古着好きの間に浸透していきました。

00s Mudvayne バンドtシャツ

こうしてワークウェアとヴィンテージTシャツ、それぞれの文化を通じて「退色=かっこいい」という価値観が古着市場全体に根付いていき、そしてアパレルブランド側も加工技術でその風合いを再現するようになった、というのが今の新品市場にまで広がったトレンドの流れです。

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④楽しみ方

Tシャツやコットンジャケットの退色は、デニムのように派手な変化ではありません。

でも、色が抜けていくほど生地がやわらかくなり、着心地も纏う雰囲気も少しずつ変わっていきます。

90s Ralph lauren zip up jacket 私物

日差しにより色が抜け切ったラルフローレンのジャケット。

シンプルなアイテムですが、フェードが入ることで古着らしい雰囲気が増大します

古着を選ぶときは、色の濃さよりも退色の入り方や生地のくたっと感に注目してみてください。 新品アパレルなら、あえて退色風に染められたアイテムを選んでみるのも、この価値観を手軽に楽しむ方法のひとつです。

まとめ

  • 退色(フェード)には、日光による「サンフェード」と洗濯による「ウォッシュフェード」がある
  • 近年はピグメント染めなどの加工で、新品から退色感を出すアイテムが増えている
  • このトレンドの源流は、アメリカ西海岸のサーフカルチャーとワークウェア文化にあると考えられる
  • もともと退色は「状態が悪いもの」として敬遠されがちだったが、カーハートなどのワークウェアブームやヴィンテージTシャツ文化の浸透を経て評価が逆転していった
  • 「使い込まれた雰囲気=かっこいい」という価値観が、古着から新品アパレルにまで広がってきている

次に洋服を選ぶときは、色の鮮やかさだけでなく退色の表情にも目を向けてみると、また違った視点で服選びが楽しめるはずです。

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