NUMBER(N)INEのカート期について TOUCH ME I’M SICK

Brand
カートコバーンが着用していたカーディガンが3600万円で落札された。
没後約20年、いまだに彼の多大な影響力を感じるニュースも記憶に新しいです。
1993年ごろに彼が作り出したと言っても過言ではない「グランジ」というスタイルは今なお世代を超え、人々に愛されています。
「グランジ」の本来の意味は「汚い」「悪い」などを意味するスラングです
色落ちして裾がほつれたデニム、着古したフラネルシャツなど着用するスタイルです。
これはアメリカ人の「普段着」のスタイルではあるのですが、彼はステージ上でもこのスタイルを貫き通しました。ありのままの自分でいることで、当時のロック=派手に着飾るの常識を覆したのです。
そんな「新しくないものが新鮮」だという感覚はみるみるうち若者の間で広まり、今なお形を変えて存在しています。
そんな「グランジ」を00年代に持ち上げ、再考させたブランドがあります。
さて、本題のNUMBER (N)INEの2003aw 通称 「カート期」について迫ります。

 

1 NUMBER (N)INEと音楽

NUMBER (N)INEと音楽は切り離せないものだと思います。
音楽、主にロックから受けたインスピレーションをもとに独自の世界観でコレクションを展開していました。
ブランド名や、ロゴ、アイテムのディテールなど細部まで洗礼されたアイテムたちは服好きだけでなく「音楽好き」さえも唸らせます。
ナンバーナインの洋服にはただ当時の音楽スタイルを取り入れるだけでなく、ミックスすることで現代風(当時)に昇華されることにより今なお新鮮さを感じさせます。

2 カート期について

当時のナンバーナインはデザイナー宮下氏が自身の体調によりしばらく活動を休止していました。
ブランドとして活動を再開することになった2003年 4月24日。異例である春夏・秋冬合同といった形でコレクションが発表された。
この時の心境を2005年のインタビューにて下記のように語っています。
「自分自身の中で一番大切なコレクションです。
自分の非常にまずい状況を、洋服とスタッフたちが救ってくれました。やりたいことがやれたという点でも大きな意味を持つコレクションですね」
「2005年 Smart Magazineより」
2003-2004 S/S&A/W -TOUCH ME I’M SICK~A NEW MORNING-
モチーフはNIRVANAのカートコバーン。
生前の彼を連想させるようなアイコニックな装いが続きます。
その中でもブランドらしいエッジを効かせた、ベルベット加工が施されたダメージデニムや、パジャマシャツに上質なベロアジャケットとの合わせなどのルックが目立ちます。
グランジでありながらナンバーナイン独自の解釈が絡み合った「グランジ」のカルチャーのレベルを底上げしたようなコレクションです。
このスタイルはナンバーナインを筆頭に、10年代のエディによるサンローラン、マークジェイコブズに連鎖していき、現代のラグジュアリーブランドまでにも影響をもたらしていると思います。
実はカートのテイストは07ssのテーマにも採用されています。
カートがもし生きていたらというテーマ。
生きていれば40歳
落ち着いた雰囲気の中にもカートらしい人物像が不思議と連想できる素晴らしいシーズンです。

3代表アイテム

・チェックシャツ
グランジを代表するアイテムの一つであるフラネルシャツ。 猫目ボタンや裏地のサテン
細部までヴィンテージらしいディテールが詰め込まれているのが特徴です。
・サングラス
生前にカートが好んで着用していたクリスチャン・ロスを連想させるサングラス
・カーディガン
冒頭で紹介したアンプラグド時のカートが着用していたカーディガン。これを皮切りに昨今ではヴィンテージカーディガンの需要が高騰。
同時にこのアイテムも再評価されている。

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