ヨウジヤマモト 1996ss 花と少年期について

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アーカイブファッションとは?

今日のファッションシーンでは完全に確立された「アーカイブ」というジャンルがあります。
主に1990年代から00年代前後のデザイナーズブランドのアイテムのなかでも再評価されたアイテムのことを意味します。
急激なカルチャーの盛り上がりを見せ始めた要因の一つはラフシモンズのアーカイブだ。
2015年ごろよりカニエウエスト改めYE氏を筆頭に数多くのラッパーや海外セレブがラフシモンズの「古着」を着用し始めたのだ。

2015awのファッションウィークでラフシモンズを着用するYE氏

これにより世間は
ん?あのブランドはなんだ? 最新のコレクションでも見当たらない。 どこで買えるんだ?
と彼らが着用する正体不明のアイテムへの関心が高まっていく。
これが発端となり、いままでは単なる「ブランドの古着」だったものが「アーカイブ」と呼ばれるようになり、新たな価値観が確立されたのである。
UNDERCOVER 03ss SCAB期

日本独自のアーカイブファッション

では日本ではどうだろうか?
本日紹介する、日本のモードを代表するブランド、ヨウジヤマモトにも長い歴史があり、コレクションを発表し始めた1977年より発表してきた作品が今日ではアーカイブとして再注目を集めている。
ヨウジヤマモトのアーカイブは日本だけでなく世界中で(特に中国)で高い評価がされていおり、数年前では考えられないほどの高値で取引されているのが現状だ。
6.1the men レザージャケット100万円以上で取引されている
しかしながら日本国内のみで大きな盛り上がりを見せたシーズンがある。
それが本日紹介する1996年春夏コレクション「花と少年期」だ。

花と少年期について Yohji Yamamoto pour homme 1996ss

ヨウジヤマモトの1996年の春夏コレクションは通称「花と少年期」と呼ばれています。
ヨウジヤマモトが好きな方は一度は聞いたことがあるワードではないでしょうか?
シーズンを代表する最も有名かつアイコニックなアイテムがこちらの「牡丹の花」のシルクブルゾンだ。
デザイン自体はシンプルでありながら、強烈に惹きつけられるのが花と少年期のデザインの特徴だろう。
花と少年期は日本国内で名作と称されており、このアイテムはブランドの歴史全体を通しても名作と評価されています。
このアイテムの奇抜性はSNSを中心に若者たちにも広まっていき、当時の2018年のコレクションの「奇抜性」と相まってヨウジヤマモトの代表的なアーカイブアイテムと評価されていった。
私も19歳の頃にこのコレクションに出会い、ヨウジヤマモトの世界の魅力に引き込まれた一人だ。

テーマ

テーマは文字通り「花」と「少年」
今となってはよく見かける「花」というモチーフだが、ヨウジヤマモトはかなり初期の頃からこのモチーフを使用していました。
復刻もされた1987ssでは花と少年期に近しいデザインの大胆な柄を胸元にプリントしたシャツをリリースしています。
1987ssより
1987ssより
この初期の頃から使用していた「花」というモチーフが一番美しく表現されたのが花と少年期です。
これは私の感想ですがヨウジヤマモトの花の完成形と行っても過言ではないと思います。
87ssではコットンにプリントされていた柄が花と少年期ではシルク地により大胆にプリントされていたり、花柄をカットワークで表現したりと「花」というモチーフが持つ美しさを限りなく高く表現されています。
ランウェイの端には大量の花が咲いており、その真ん中を歩いてくるモデルは12歳ほどの「少年」。
中には日本の夏休みを感じさせるルックもあります。
ヨウジヤマモトのコレクションにはどこか中国の文化を感じさせるモチーフが登場します。
このコレクションでも中国の人民服のようなジャケットが登場します。
また、当時発売されていたカットソーには中国の昔の少年と思われる写真がプリントされています。
少年がプリントされたカットソー(私物)
花は中国では老人の象徴として表現されることが多く、これは私の主観ですが若者の象徴である「少年」というモチーフとの比較も感じられます。
少年が持つ「若さ」と花が持つ「儚さ」が絶妙にマッチした、なんとも美しいルックが続きます。

花について

この花柄を手がけているのは服飾図案家である 林 史己氏。
古くよりヨウジヤマモトの図案を担当されており、数々の名作と称されている図案の生みの親です。
中でもスカルローズや、08ssの敗残兵、11awの烏など。
当時だけでなく現代でも再評価され、どれも美しい図案ばかりです。
「ヨウジヤマモトの洋服には魔法がかかっている」
一度でもヨウジヤマモトの洋服を着用した方が口を揃えてこう言います。
ゆとりがありながら力強さを感じ、どこか勇気をもらえる。
そんな不思議な力を感じられるヨウジヤマモトの洋服をさらに魅力的に昇華するのがこの柄たちでしょう。
特に代表的な牡丹の柄はヨウジヤマモトのコラボラインであるwildside yohji yamamotoではブランドを代表する柄として多用されており、今日でも非常に大きな影響を持ちます。

代表アイテム

①牡丹ブルゾン
最も印象的なこのアイテムは2020年に復刻版が発売されています。
復刻版ではシルクではなくコットンで復刻されています。
②総柄パンツ
こちらも2020年に復刻されています。
花柄が前面にプリントされているシーズンを象徴するアイテムです。
このドクターマーチンと合わせるスタイルングがいまの若者を表現されています。

まとめ

ヨウジヤマモトの名シーズンと称される「花と少年期」についてまとめました。
ヨウジ好きなら一度は聞いたことがあるシーズンだと思います。
日本画の花に惹かれる日本人特有の感性なのでしょうか?
海外でヨウジヤマモトの過去のアーカイブが再評価されている中、このシーズンは日本での評価が特に高い用に感じます。

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